スパイキッズ 3本立て(3本)
2020/09/06
スパイキッズ
SPY KIDS
2001年(日本公開:2001年12月)
ロバート・ロドリゲス アントニオ・バンデラス カーラ・グギーノ アレクサ・ヴェガ ダリル・サバラ アラン・カミング テリー・ハッチャー トニー・シャルーブ ダニー・トレホ ロバート・パトリック チーチ・マリン ジョージ・クルーニー
あの「エル・マリアッチ」のロバート・ロドリゲスが、あの「デスペラード」のロバート・ロドリゲスが、あの「フロム・ダスク・ティル・ドーン」のロバート・ロドリゲスが、あの「パラサイト」のロバート・ロドリゲスが……
子供が主役のファミリー向けスパイ・コメディを撮っているとの噂が伝わってきたとき、おれは正直失望に似た脱力感を禁じえなかった。
この時期、日本中の映画館がシネコンに塗り替えられ、そこではファミリーかカップルをターゲットにした映画が優先された。特に昼の時間帯はそればっかり。利益の出ない映画は上映しない。経済の基本だから仕方がない。
むかしむかし名画座や二番館で上映されていた、2本立て3本立てが似合う、上記のロドリゲス映画のような、安っぽくてくだらないけどちょいと面白くて元気が出る映画(昼間ぶらぶらしているおじさんが、暇つぶしに切符を買うような映画)の居場所が、どんどん消えていった。昼間は日本語吹替え版ばかり、字幕版はレイトの1回のみとか!
そんなときに、あのロドリゲス製作のファミリー・ムービーが全米大ヒットのニュース。
ロドリゲス、お前もか!
「スパイキッズ」シリーズは、近場のシネコンで見た。
3作とも日本語吹替え版。ファミリー映画だから、吹替え版しか上映してなかった。
当然のごとく客は子供連れのファミリーばかり。おっさん一人ですごく居心地が悪かった嫌ぁーな記憶だけが今でも残っている。
ストーリーはベタで、米ソのスパイだったアントニオ・バンデラスとカーラ・グギーノが冷戦終結後に引退し結婚。ふたりの間に生まれた姉弟のスパイ・コンビが、子供型ロボットで世界征服を企む悪い組織と、テレビゲーム感覚で戦う。ボス・キャラはキッズ番組の人気者ピーウィー・ハーマン(アラン・カミング)。「ウルトラマン」の星野少年が大嫌いだったけど、この姉弟コンビはどうにか見ていられた。デジタル技術で制作された兵器ガジェットが次々と繰り出されるのが趣向。007シリーズのパロディといっていい。
エログロ抜きでも、ロドリゲスらしさは全開しているので、彼のファンには(子供向けだけど)楽しめると思う。ラストにジョージ・クルーニーが出てきて何か得した気分になる。ちょこっと顔出しただけなのに。
65点
#スパイキッズ 3本立て
2020/09/06
スパイキッズ2 失われた夢の島
SPY KIDS 2: ISLAND OF LOST DREAMS
2002年(日本公開:2002年09月)
ロバート・ロドリゲス アントニオ・バンデラス カーラ・グギーノ アレクサ・ヴェガ ダリル・サバラ スティーヴ・ブシェミ マイク・ジャッジ ダニー・トレホ チーチ・マリン マシュー・オリアリー エミリー・オスメント リカルド・モンタルバン ホーランド・テイラー デイル・ダドリー ビル・パクストン
シリーズ第2弾は、レイ・ハリーハウゼンまつり。
スティーヴ・ブシェミのマッド・サイエンティストがなぞの島で研究開発した、変なクリーチャーが大暴れ。「シンバッド七回目の航海」や「アルゴ探検隊の大冒険」に大喜びした(むかし子供の)おっさんを童心に還らせる玉手箱。骸骨チャンバラもあります。
それだけじゃ足りないと、姉弟のスパイ・コンビに(こまっしゃくれた)ライバルも登場。お姉ちゃんがよろめいたりして。さらに両親の親(主人公たちの祖父&祖母)まで絡ませて、上映時間を引き延ばしてあります。
スパイ映画のパロディとしてだけでなく、プラス・アルファをハリーハウゼンでやったことでポイントを稼いだね。
DVDには恒例の「映画学校」も付いていて、貧乏制作者はいつも勇気づけられている。
(1作目のDVDには付いてなかった)
65点
#スパイキッズ 3本立て
2020/09/06
スパイキッズ3-D:ゲームオーバー
SPY KIDS 3-D: GAME OVER
2003年(日本公開:2003年10月)
ロバート・ロドリゲス アントニオ・バンデラス カーラ・グギーノ アレクサ・ヴェガ ダリル・サバラ リカルド・モンタルバン ホーランド・テイラー シルヴェスター・スタローン マイク・ジャッジ サルマ・ハエック マシュー・オリアリー エミリー・オスメント ダニー・トレホ スティーヴ・ブシェミ ビル・パクストン ジョージ・クルーニー イライジャ・ウッド アラン・カミング トニー・シャルーブ
シリーズ第3弾は3D(飛び出す映画)。
シルベスター・スタローンの悪役が仕掛けた「ゲームオーバー」なるヴァーチャル・ゲームに捕らわれた子供たちを、スパイキッズの弟くんが救出にいく。
お姉ちゃんは不在。映画の後半まで出てこない。
まず劇場で配られた3Dメガネで「うひゃー」と驚いた。赤と青のセロファンが入った、あの「東映まんがまつり」で配られていたのと同じチープ極まりない、懐かしい立体メガネ! こんなんで喜ぶのは限られた世代のむかし子供くらいだろうよ。
これ、すごく目が疲れるんよ。(現在主流の)偏光グラスの3Dも目が疲れるから、なるべく普通の2Dで見るようにしてるのだが、赤青セロファン方式はもっと、もっとつらいの。それはロドリゲスも分かっていて、飛び出す映画は、劇中の「ゲームオーバー」世界に入ってるときだけに限定し、メガネを掛けるタイミングと外すタイミングをテロップで指示している。子供の健康を損なわないよう気遣いしてるの。偉いね。
そんなにラジー賞が欲しかったのか、スタローンが1人5役のオモシロ悪役。「スタートレック2/カーンの逆襲」のリカルド・モンタルバン(当時80歳過ぎてたはず)が超人化して縦横無尽の大活躍。ストーリーに何ら絡むことなくあっけなく消えるイライジャ・ウッド。クライマックスはシリーズ・キャラクター勢揃い。巨大化したスタローンに立ち向かうオールスター大活劇。
シリーズの掉尾を飾るべく、最も豪華に盛り上げた本作が、シリーズ中最もつまらない。
そもそもがヴァーチャルゲームの如きスパイキッズ・ワールドのなかに、更にゲーム世界を仕込んだのが失敗。すっかり大人体型に成長したお姉ちゃんが後半まで出てこないのも失敗。スタローンだけ出しとけば後はどうにかなるだろ的な、テキトーなストーリーで撮ったのが失敗。いちばん面白かったのがジョージ・クルーニーのモノマネ芸(スタローン)だった、というのが情けない。
60点
#スパイキッズ 3本立て